20180114

201712 Element Eyes 27 突き抜け落ちる

https://www.flickr.com/photos/145415978@N03/albums/72157662601969537

フリッカーに写真のまとめUP。

今回から、写真のタイトルを少し変えています。
このところ、写真は
日記とUPしているので
そのなかの言葉からタイトルに。


20180114 Diary 突き抜け落ちる






きりっきりに冷えた朝。突き抜けた空から雪か落ちてくる。
頭脳警察+はちみつぱいのライブに行けなかったからってひねたりなんかしないさ。昨日は。
ようやく去年から描いてた鉛筆画を終えた。
一昨日の夜お風呂にはいりながら(ぼんやり)ああ、この絵。もうどうしょーもないな。ばらばらに切っちゃおうかな。分解しようかな。辞めよかな。ともう手に負えなくてだめだめ。だめだめ中のだめだめ。いま描いてるのがだめだったらもうゼロなんだよね。無しなんだ。全く今までの積み重ねなんてへみたいなもんでさ。なんもない。なんもないよ自分は。
昨日どろどろの気持ちで(かっこよく仕上げるとか、すぱーっととかなんか微塵も残んない)どろにまみれてもうこれだめになってもしょうがないや、って諦めきれずに突っ込んでって。どんだけの諦めないをおまえは求めてくるんだ?ダメ出しの無限。食い下がるさ。食い下がりまくるのさ。半端なく。もうそうなってくると、粘り勝負なんだ。カッコ悪さ極まれり。酷いもんだよ。無能。
しばらくして、ようやく

終われるって思えた。
気持ちよくなんかないさ。
自己陶酔?なめんなよ
課題だらけででこぼこしてる
そんな戦いのあとかなぁ
でもなんとか
繋がったと思う

20180111

空想画廊のブログ。

空想画廊のブログ。
現在Vol.3の頭までUPしました。
過去のアーカイブ、ぜひぜひ読んでね!





20180110

20180110 Diary しばし潜伏





昨夜から喉がヒリヒリと。しかも先週行った歯医者の治療から、歯の腫れが引かず。さすがにこりゃ参った。正月が空けるか空けないか頃からとにかくいろんな用事や雑用を済ませて、なるべく制作の時間をしっかり確保しようと。動いていたんだけど、ちょっと小休止かな。

半田さんとの空想画廊Vol.3。当初は自由に書いてくださいということで始めたんですが、途中からいろいろとむちゃぶりをいたしました。「ライトノベル風に」とか「今回はパンクで」とか「女性のモノローグで」とか。ところが敵もさるもので。笑 半田さんの返してくるボールがすべて意外なものばかりで、これまた面白かった。
最終回は、半田さんの自由にお願いします。と申しました。返って来た文を読んでいると現実に分身がいたらこんな感じがするのかもしれないと。非常に不思議な感覚がしてきました。10篇にわたる綺麗な文章。作品単独で見るのとは違う感触も湧いて。楽しいコラボでした。でも、これで終わりではなくて、実は「あとがき」もあります。こちらは、現在執筆中。もうしばらくお待ちください。そして、空想画廊はVol.4を今準備中です。




小休止とはいえ、実は制作を充実させようという目論みもありで笑 去年からずっとひっぱっている鉛筆画がまだ終わらなくて。というか、今が勝負後半戦といったところか。終われそう!というところからが、実際の作業じゃ絵になっていく頃合いで。ここで逃げたら半端で終わる。しばし(一週間くらいでめどをつける予定!)PCのアップの時間を制作に回しますので、ここはおとなしくなりますが、ご容赦ください。


しつこいようですが笑

今年の12月前半、個展を地元でやりますので。
ここ数年の孤独な笑 戦い、煩悶、自問自答、これでいいのか?、どうなのよ?ここいら、全部見せたりますんで笑 そこんとこヨロシク!

しばし潜伏しての作業はまだ続く。

20180109

空想画廊 Vol.3 #10「氷解」



 矛盾した表現かもしれないが、これは、一枚の写実的な模式図だ。世界の「地図」といってもいいかもしれない。わたしはそのうえを、鉛筆でなぞる。わたしたちとともに、つねにうごきつづけている、つねに流れている、なにか。その世界の謎に近づくために。

 ついには、Aha-Erlebnis(アハ・エラブレニス)つまりは「アハ体験」という「特権的瞬間」がおとずれるのかもしれない。もしかしたら、5,670,000,000万年後、弥勒(みろく)のやってくるそのときまで、おとずれないのかもしれない。

 そのとき、つまり「そのとき」という字義どおり、まさしく「その時間において」わたしたちおのおのの世界のありかたは一変する。いままでのすべてがそこにむけて収斂すると同時に解放される法悦。カタルシスだけではなく、それとは逆の向きのなにかも感得されるのだろう。

 知覚される世界には、つねにわたしとともにうごきつづけているなにかには、そしてわたしという存在そのものには、きっとどこかへ通じる「特権的瞬間」という穴があいているにちがいない。なにかとのめぐりあいを可能にする穴。そのときしかひらかれない穴。それをみつけるべく、今夜もこの地図をなぞる。

 やがてそれは、プロコル・ハルムの “Pilgrim's Progress” のように、いつのまにか歌になるのかもしれない。

 ジェイムス・ジョイスの短篇 "Clay" のように、GK・チェスタトンの "Pond the Pantaloon" のように、エピファニーの瞬間がおとずれるのかもしれない。

 そのとき、自分になにがおこるかはわからない。

 ジャック・ラカンの「三人の囚人の話」にしろ、みえるのはせいぜい目の前の仲間の背中に貼られた白い円盤くらいだ。だが、わたしたちは「脱自」の存在だ。三人ともひとつのかたまりとして、「既在」「現在」「将来」というひとつの「本来的時間性」として、いっしょにそこから釈放される、その希望を捨ててはいけない。

 そのむこうがわには、いつかなにかが。そう思い、わたしは素材の上で、鉛筆をうごかす。




/ 半田 哲也

/ 細木 るみ子 氷解 2008





20180108

空想画廊 Vol.3 #9 “Belly Button Window”






吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。

おののいて気をうしなっていたのかえ。

そなたの心が揺らいで乱されることのないよう、汝(な)の母の股のあいだにすわってな、こうして汝(な)の母の陰部に口を近づけて、そんでくりかえしくりかえし呼びかけておったのじゃ。

吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。

汝(な)は業の深さゆえに、救いの懇願をすることもなく、あのエメラルドの光を直視することができず、OmManiPadmeHum の六つのシラブルの轟音におそれおののき、そして気を失っていらいすでに二百日が経過しておる。

吾(あ)は汝(な)のあの記憶を呼び覚ますべく、轟音・とりどりの色彩・かぐわしい香り・あの蠱惑的(こわくてき)な刺戟・恍惚の味、それらのすべてが汝の知覚のはたらきの影であることに気づいてもらうべく、そして汝(な)が悪趣に堕(お)ちぬよう、汝(な)が幻影に錯乱せぬよう、自己相似性の原理にもとづいてコッホ図形のごとくあらわれるそれらのすべてが、汝(な)の怒り・穢(けが)れ・驕(おご)り・罪業(ざいごう)・貪欲(どんよく)・吝嗇(りんしょく)・嫉妬・煩悩(ぼんのう)・不思議な瑞兆(ずいちょう)、それらのすべてが汝の知覚のはたらきの投げかけた影であることに、すなわち汝の存在の影であることに気づいてもらうべく、吾(あ)は汝(な)にむかい、松の枝葉を焚き、くりかえしくりかえし呼びかけておったのじゃ。

吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。

いままた汝(な)は類をひとしくするものがみえていることじゃろう。しかし、吹きすさぶ業(ごう)の中、汝(な)が汝(な)の肉親に語りかけても返事はない。二百日、とどまることなく細胞分裂をくりかえし、怒り・穢(けが)れ・驕(おご)り・罪業(ざいごう)・貪欲(どんよく)・吝嗇(りんしょく)・嫉妬・煩悩(ぼんのう)・不思議な瑞兆(ずいちょう)、それらのすべてを避けるすべを知らず、そのただ中にいることじゃろう。

汝(な)の労働力をすでに皮算用して他人がすでにそれを享受していようとも、けっして怒りをあらわにしてはいかんぞ。

汝(な)、自然生得(じねんしょうとく)の歓喜のなかにあるか。

汝(な)、三悪趣(さんあくしゅ)の悲惨な境涯の幻影はみえるか。

汝(な)、LOVE HATE とに苛(さいな)まれているか。

汝(な)、永劫に輪廻のなかにさまよいつづけるか。

汝(な)、苦海(くかい)におぼれつづけるか。

汝(な)、夢をみつづけるか。

吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。吾(あ)は汝(な)の名を呼ぶ。


/ 半田 哲也
立体作品/ 細木 るみ子 Belly Button Window 2013












20180107

空想画廊Vol.3 #8『暴発かぼちゃ』


みなさん、こんにちは。 マルポット印刷株式会社の本社工場へようこそ。 わたしはいまからあなたを導くアテンダント・ロボットだと言っています。 よろしくお願いします。 そこで、わたしは工場を案内します。 こちらへどうぞ。 はい。 わたしは二足歩行ではありませんが、足の下に三本のタイヤで移動します。 ここでは、前後、左右、身体を斜めにしてバランスをとって自由に動くことができます。 ああ。ああ。それは音楽です。音楽はわたしの胸のスピーカーから流れています。ショウタイムです。それはショウタイムなので、わたしはこの自由な動きを実証するでしょう。みてください。いつも〜♪ カフェでコーヒーを焼く〜♪ ここに。息ができない。それはロボットなので。バッテリーが使い果たされる、そうではありません。それ。すでに疲れている顔をもつべきではありません。この場所は笑う場所です。わたしには、印刷技術を応用した詰め物がたくさんあります。多くの多国籍製品もあります。 はい。ショウタイムはこれで終わりです。待たせてごめん。そこで、わたしは工場のまわりにあなたを見せます。まず、デザイナーの指定にしたがって、いわゆるパーソナルコンピュータを使って原稿から印刷するための原稿を完成させるサイトです。これは七階にあります。 わたしはエレベーターに乗る。これはわたしがみるものです。エレベーターにも人工知能が装備されているため、人間のようにボタンを押すことなくエレベーターと通信できます。 はい。エレベーターが到着しました。みんなをお祈りください。誰もそこにいたのですか。あなたが入りました。はい。それから、わたしは最後です。 ああワオ。 すみません。すみません。目を覚ましていただきありがとうございます。わたしはだいじょうぶです。 わたしはだいじょうぶです。心配しないでください。わたしはちょうどわたしの腰の外装が欠けていた。 はい。エレベーターが動きだしました。通常のばあい、このエレベーターの振動がないことを証明するために、わたしは紙カップに水を入れて床に置いたが、残念ながらわたしの胸のドアには水が吹きこまれた。はぁっ。あなたは燃えていますか。どうぞお見逃しなく。おそらく、回路が浸水しているかもしれませんが、ここでは新しい AI ロボットのための良い場所です。回路がどこかで停止しても、他の回路が補償することができます。 はい。これは七階です。どうぞ。 ここにあります。 あなたは「デスクトップパブリッシング」ということばを聞いたことがありますか。ああ。コンピュータ雑誌で読んだことはありますか。それは素晴らしいです。だから、わたしはコンピュータ雑誌でそれを読んだことがありますが、DTPということばは聞いたことがありません。説明するのはかんたんです。 かつて「写真製版」と呼ばれるプロセスがありましたが、非常に粘着性の高い人物の要求がないかぎり、現在はこれらのツールは使用できなくなりました。その技術を継承するのはふたりだけです。版での文字と写真を撮影するひと。黒にわかれた写真の写真の色とネガの三色をひとの色指定に忠実にあわせ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、これらの四色のネガマスクをつくったひと・そこから印刷するときに使用されたオリジナルのポジティブプレートをつくるひと。そのとおり。それは三人です。はぁっ。わたしは前にほかのふたりと言いましたか。これは申し訳ありません。そのような複雑な場所を解決する人びともいます。だから、あなたにはほんとうに四人のひとがいます。 以前の「瑞宝小綬章」の名誉を授与された元工場長がいます。それは悪人ではなく、麻雀の良い人です。はい。それはまったく悪くない。指でトレースするだけで 10 ミクロン単位のギャップを知っていることを誇りに思っていますが、性能はわたしたちに劣ります。 はい。このようにして、クライアントとデザイナー、営業部門の従業員がちがいを生み出したあと、生産管理部門は「このような納期ではできません」と尋ねられ、徹夜で捨てられた書類ゴミ箱、販売員あなたが下げた頭を下げて落とした元のデータは、あらかじめ設定された文字数・行数・列数などで任意にコンピュータによってレイアウトされます。計画のなかでは、クライアントやデザイナー、営業員、生産管理部門などが毎回決まっているので、すでに手を加えているので、すでに船が増え、船山を登ることになります。あなたが悪い顧客になったばあいは、営業担当者の結婚式をあなたが要求する頻度で頻繁に呼び出すことができます。 ああああすみません。わたしはげんざい制御室から聞きました。わたしはあいまいなことを話したようです。これは機密扱いのようですので、他の人はわたしたちにもっと欲しいです。もうひとつは役に立たないのは、職場に戻ったとしても、その上司をその上司に話すべきではないということです。それはそのひとのことだから。 はい。それでも時間がなくなったら、人間による最終チェックがあります。なにかが言われても、わたしたちはまだ信頼されていません。しかし、六階に戻りましょう。 ところで、この六階では、以前のデータをアルミ板に印刷して印刷しているため、大量の印刷を高速でおこなっても印刷精度が低下することはありません。人間はそれがこのデータごとに出力されることを確かめるでしょう、これもまた校正です。今回は、あなたを導く今年の声がすべて印刷出力に変換されて出力されます。 そして、そのロボットはこれを大きなオフセット印刷機に運ぶでしょう。 印刷サイトは一階にあります。わたしはまたエレベーターで降りる。 ああワオ。 すみません。すみません。ふたたびこの男、このエレベーター、わたしはそれをやった。ああ目を覚ましていただきありがとうございます。わたしはだいじょうぶです。わたしはだいじょうぶです。心配しないでください。すこし顔の外面にひびがはいった。あはははは。 はい。どうぞ。これはオフセット印刷機です。多色印刷に対応しているため、多くの同様のユニットが並んでいます。 ああ。お気をつけください。時には、ロボットカートが紙をゴブリングするとき、それはあなたが当たらないように通路を通過する。トルロの所在は正しく決められています。 ああワオ。ああ。 すみません。すみません。ああ目を覚ましていただきありがとうございます。わたしはだいじょうぶです。わたしはだいじょうぶです。心配しないでください。自動ブレーキがオンで、障害物があれば停止させますが、これはまだ問題です。あなたが一から十までの障害物を教えなければ、そのロボットカートだけでなく、わたしたちロボットはなにが障害物であるかを理解することができません。いいえ、予期せぬ事故であるので、そのロボットにとって予期せぬ事故です。それはロボットなので、労働者の警告にはなりませんが、だいじょうぶです。心配しないでください。左腕、多分予備品があります。 それを続けましょう。唯一のことばは文字、黒ですから、黒インクでおこなっていますが、いちど塗ってください。はぁっ。だれがわたしに頼んでいるのですか。もちろん、これはオフセット印刷機です。わたしたちの練習としては「社内接待」すなわち「自宅エンターテインメント」と呼ばれるシステムがあり、きょうはなんとかそれを印刷できるようになりました。わたしたちはキャバレーとこのクラブで約 10 回前にたずねてきました。きょうは印刷します。することが。 ここに。それが出てきて出てきた。それは素晴らしいスピードです。 わたしは魚のための作品をとるつもりです。 ああワオ。ああ。 見逃した。見逃した。とつぜん、一枚がとびだし、おどろくほど厄介なものになります。わたしは右手の指でわたしの親指をみて、それはすべて破裂し、どこかにいた。それ。わたしはロボットなので、血を手に入れませんが、いい子を模倣すべきではありません。ああどうもありがとうございました。わたしはだいじょうぶです。わたしはだいじょうぶです。心配しないでください。わたしはあとでそれを修正します。 これは印刷されたものです。このように大きな用紙に印刷されます。つぎにそれを折りたたんで、それを切り、束縛します。 みてください。この印刷物は、わたしが以前に話していたのとおなじです。




文/ 半田 哲也
絵/ 細木 るみ子『暴発かぼちゃ』2014





20180106

年末から年明けにかけてのプレイリスト♪

年末から年明けにかけてのプレイリスト♪
の一部笑 画像は新作の部分(銀の沈殿流れだす 2017)
オートバイ ( Motorcycle ) PANTA & HAL
https://www.youtube.com/watch?v=xbt-NmmvDfU
静岡 Moonriders
Russiandrix Char
Apeirophobia ANIMALS AS LEADERS
https://www.youtube.com/watch?v=DK2ORatv1cA
Come To Me (Wordless Version) 65daysofstatic
https://www.youtube.com/watch?v=XnkGQTpG3Ao
La noche murmura Puente Celeste
https://www.youtube.com/watch?v=7XLpbExpOkI
cramps 山本精一+Fushigi Robot
Call the Cops Minus the Bear
Your Time Is Gonna Come Led Zeppelin
https://www.youtube.com/watch?v=fssblRRCgmg
Excerpts from The Six Wives of Henry VIII Yes
https://www.youtube.com/watch…

…youtubeになかったものもあり。すいません。


空想画廊Vol.3 #7『宙を歩く者』もしくは『スカイウオーカーズ』


あ。「奇妙(きみょう)な果実」だ。しかもあんなにたくさん。あさの通学路でのことだった。ナッビーはぞっとした。 「ゴッサム・シティ」に、警察(けいさつ)でも手におえない犯罪がおこると、「バット・シグナル」の強力なライトが夜空にむけて照射され、バットマンに助けをもとめる。それとおなじなのだ。二メートル以上もうえの高さの電線に、こんなふうにぶらさげる。 「むかご」という状態のときもあるが、今回はそれよりもひどいサインだ。いや、こんなことをする手間をかんがえるというのは、そうとうな悲しみだったり、恨みだったりが、あるいはぎゃくに、そうとう意地のわるい思いがこころにないとできないことだ。すぐ南西にある中学校のお兄さん・お姉さんがはいているのとおなじ「スカイウォーカーズ」の白い靴(くつ)ばかり。まちがいない。 仕事への道をいそぐおとなたちは、みてみぬふりをしているのか、目にとまらないのか、その電線の下をさっさと通りすぎていく。おとなにはわからないサインかもしれないけれど、おかしいな、と疑問に思うひとすらいないのだろうか。なんだか気持ちがわるくなって、胸がむかむかしてきた。 通学路からひょい、とそれる。夜おそくにやっているお店のならぶせまい道で、生ゴミやら燃えるゴミがそれぞれ分別ゴミの袋にはいって大量に道においてあり、そこからめぼしい食べものやら巣の材料に使えるものはないかと、カラスが袋から袋へととびまわっている。吐き捨てたガムが黒く変色して、あちこちに貼りついている、野菜のくさったにおいのする道だ。 お寺のかどを右にまがると、いっけんビルが建ちならんで隙間(すきま)もないようにみえるところがあるのだが、じつはそのビルのどの裏手にも扉があって、そこをあけるとぽっかりと四角い空き地がある。そこはその番地の共有地で、このへんはだいたいそんなつくりになっているから、おとなにわからないようにしなくても、たいていとがめられない。 「おはよう」 ナッビー二号と三号の声。やっぱりあれをみたのだといった。 「やばいね」 「うん。ほんとうにやばい」 「開始時間は8時50分。中学校の朝礼がおわったらすぐだよ」 「だいじょうぶ。みんなちゃんとあつまるはず。あんなひどいシグナルなんだから」 なおも話をしようとすると、べつの扉から会社員のおじさんがはいってきて、煙草に火をつけた。 「おはようございます」 すかさずナッビーは言った。そのほうが疑いの目でみられない。おとなは、なんとなく仲間のような気持ちになるようだ。 おじさんは煙草をくわえたまま、顔をあげて言った。 「おはよう」 「おじさん。いま何時ですか」 「あ。ええと、8時40分だ」 顔を知らないおじさんはたいていていねいな言葉をつかわない。ふつうは逆なのに。 ナッビー三号がわざとらしく言った。 「そろそろ学校に行かないといけないね。行こうよ」 ナッビー二号がべつの扉にむかって走り出したので、ナッビーたちはあわててついていった。 「この事件はさあ」ナッビー二号が言った。「ぜったいにおとなたちがしらんぷりをしている。あのサインが出たんだから、おれたちがやらないと」 角を曲がると、やはり数人のナッビーの歩いているのに出会った。はたからみれば、ふつうに登校しているようにみえる。番地から番地へ、道をわたるたびに、ランドセルを背負ったナッビーは増える。 やがて小学校の通用門のところにきたが、全員がスルーした。いまやその行列は一学年ぶんのナッビーたちとなっていた。 小学校の角を左に曲がる。あとひとつ道をこえたら例の中学校だ。正門がみえる。 小学校のフェンスに沿って、中学校のほうへ。 と、むこうからもナッビーたちがやってくるのがみえた。そして、右手の通学路からも。ということは、ゆうに三学年ぶんのナッビーがいるということだ。やはり、みんなあれを重大事件とみているのだ。 これで、コンクリートの壁と、緑のフェンス、中学校の四方をかこんだはずだ。もういまから泣いている女の子のナッビーもいる。 思ったとおり、異常をみてとった中学校の先生が、玄関から出てきた。 「こら。なんだおまえたち。授業はどうしたんだ」 この先生も嘘をついているのだろうか。それとも、ほんとうになにも知らないのだろうか。 先生は、わざとこわい顔をしてこちらにむかって歩いてきた。たとえ知らないとしても、そんなえらそうな態度にものすごく腹が立った。もうみんなも限界だろう。それがびんびん伝わってきた。 が、その先生は、いきなりきょろきょろと左右をみて、学校がすべてランドセルを背負った児童にとりまかれていることを知ると、うろたえた。 わあっ。意を決してさけぶと、北側と東側のナッビーたちが、それに呼応した。運動会よりも大きなユニゾンの声が校舎のコンクリートの塀にぶつかった。校舎の窓にぶつかった。電線がふるえている。あの空も。 うわあっ。 やがて、南側、西側。中学校は黄色いナッビーたちのさけびに囲まれて身うごきがとれなくなった。ナッビーたちにとっても、これがさいごの手段だ。だからもう、補導されてもいい。みんないるから。 息が切れたら、また、わあっ、と叫ぶ。玄関からつぎつぎと出てきた先生たちも、どうしていいのかわからないので、ただ立っているだけ。やがて近所のおとなたちが顔を出す。ここで負けたらいけない。 ナッビーの黄色い声を絶やしたらいけないのだ。 わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。わあっ。 つぎの日の夕方のテレビで、あの日に中学校を欠席していたお兄さん・お姉さんたちが、あのポプラの木で首を吊って死んでいるのがみつかったというニュースをやっていた。的外れなことばかり言っているおとなや、そのお兄さん・お姉さんの友だちとかいうのが映っていた。ふだん気にもとめていないひとたちがなんにも知らないひとたちをとつぜんカメラで映したって、なにもうつるはずがないのだ。 でも、おれたちはなにがお兄さん・お姉さんをおいつめたか知っているぞ。




文/ 半田 哲也
写真/ 細木 るみ子 『宙を歩く者』もしくは『スカイウオーカーズ』2017







20180104

20180104 Diary



今朝も冷えた。
なかなか終わらない。まだまだ作業は続く。